第7回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話を実施:コロナ危機対応について議論

2020年12月4日

ハイレベル対話の成果について述べる世界銀行グループトロッツェンバーグ専務理事

ハイレベルセッションを総括するJICA山田副理事長

2020年12月2日及び4日、国際協力機構(JICA)と世界銀行グループは、オンラインで第7回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話を実施しました。両者は、世界の喫緊の課題であるコロナ危機対応について意見交換し、一層の連携強化を図ることで合意しました。

今回のハイレベル対話は、これまでで最大の規模となり、10のセッションに分かれて議論を行いました。保健分野での新型コロナウイルス感染症対策、人的資本(保健、栄養、教育等)、民間セクターファイナンス、質の高いインフラ投資の4つの課題と、東アジア・大洋州、南アジア、ラテンアメリカ・カリブ海、アフリカ、中東・北アフリカ、欧州・中央アジアの6つの地域です。今回初めて、ラテンアメリカ・カリブ海、欧州・中央アジアが議論の対象となり、JICAと世界銀行グループが事業対象とする全ての地域が網羅されることになりました。

今回はオンライン開催となったため、海外からも参加が可能となり、例年より多くの方が議論に参加しました。10のセッションは11月中に随時開催され、その全体報告と総括議論を12月2日に山田副理事長とトロッツェンバーグ専務理事が議長を務めるハイレベルセッションとして、同4日に北岡理事長とマルパス総裁をヘッドとするサミット会合として実施しました。

全10のセッション共通のテーマにコロナ危機対応を据え、地域・分野横断的な議論を展開しました。特に保健医療分野では、新型コロナウイルス感染症拡大は、人々の命・暮らし・尊厳を脅かす人間の安全保障上の脅威であり、世界中でかつてないほど健康への注目が高まっているとの認識で一致しました。そして、新たな感染症などから人々の健康を守るため、中長期的な視点に立ち、治療・警戒・予防体制を強化することを目指すJICA世界保健医療イニシアティブの推進に向けて今後も継続的に意見交換を行うことで合意しました。

これまでのハイレベル対話では、人的資本(保健、栄養、教育等)について継続して議論してきましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、これまで達成された人的資本投資の成果が損なわれはじめている危機感を両機関は共有し、保健、栄養、教育等の支援をさらに強化していくことで合意しました。人的資本の強化は、持続可能な開発と強靭な社会の構築にも不可欠であることから、両機関は人的資本への投資を拡大していく予定です。

地域別のセッションでは各地域の特徴に応じたコロナ危機対応が話し合われ、たとえばアフリカ地域では、2022年にチュニジアで開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)に向けて、人的資本やデジタル、地域統合、民間セクター支援にかかる取り組みが議論されました。また、新型コロナウイルスの蔓延によって経済や財政の悪化に直面する開発途上国の債務問題ついても意見交換を行い、債務持続性や債務管理の透明性の重要性で意見が一致するとともに、両機関の間で情報共有を継続・強化していくことで合意しました。

両機関は、今後も様々なレベルで対話を継続し、連携を強化していきます。